2023年11月にB/43が行った共働き夫婦611人を対象にした調査によると、共働き夫婦の家計運営には大きく5つのパターンが見られました。
- 収入持ち寄りタイプ (64.3%)
- 一体型(39.3%): 全収入を持ち寄り家族のお金とする
- 拠出型(25.0%): 収入の一部を持ち寄り家族のお金とする
- 夫婦別財布タイプ (20.8%)
- 支出分担型(14.4%): 支出毎に夫婦で分担する
- 精算型(6.4%): 各自支払い後に負担を精算する
- 片方負担タイプ (14.1%)
- 扶養型(14.1%): どちらかが全ての生活費を負担する
この調査で注目すべき点は、「収入持ち寄りタイプ」の夫婦は「家計が心配」と回答した割合が32.3%と、「夫婦別財布タイプ」の46.4%を14.1ポイント下回っていたことです。収入を一緒のお金として管理する方が、経済的な不安感が少ない傾向にあるようです。
そこで本記事では、夫婦で協力し合える家計運営の一つの方式として、収入や生活費を一元化する「共通口座」の活用をご提案します。さらに、将来の目標のための「貯金用口座」の使い分けも合わせてご紹介します。
効率的で円滑な家計管理を実現し、夫婦関係の満足度向上にもつなげる方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
- 日々の生活費の管理は「共通口座」、将来のための貯金は「貯金用口座」
- 夫婦で家計管理を成功させる3つのコツ
- 共通口座が開設できるオススメの銀行5選
- B/43をInstagramで紹介いただきました!
- よくある質問
- 専門家からのコメント
日々の生活費の管理は「共通口座」、将来のための貯金は「貯金用口座」
共働き夫婦の家計を円滑に運営するには、収入と支出を一元管理することが不可欠です。そのためには「共通口座」で日常の家計を賄い、別途「貯金用口座」を設けて将来の目標に向けた資金を積み立てるのが理想的です。
共通口座で家計の"見える化"を実現
- 一か所に収支がまとまり金の行く末が把握しやすい
- 無駄な出費をお互いにチェックできる
- 夫婦で協力して家計を共有できる
給与などの収入と、生活費、光熱費などの必要経費を共通口座で一元管理することで、いつでも家計の状況が「見える化」されます。夫婦でお金の動きを共有し、節約の意識を高め合えば、無駄な出費を防ぐこともできるでしょう。お金の問題が原因の夫婦げんかを未然に防ぐメリットもあります。
貯金は目的ごとに口座を分ける
将来の目標を実現するための貯金は、その使い道に応じて口座を分けて管理するのがベストです。例えば新車購入資金、子育て資金、老後の蓄えなど、目的ごとに口座を分ける事で貯金の使い道が明確になり、着実に資金を積み上げられます。
日常の家計は共通口座で「見える化」し、大きな目標のための貯金は貯金専用の口座で分けて管理する。この2つの口座の使い分けが、夫婦で協力しながらゆとりある家計を営む秘訣となります。
夫婦で家計管理を成功させる3つのコツ
家計管理は大切です。夫婦の価値観の共有や協力関係づくりにも役立ちます。しかし、実践は難しいものです。ここでは、夫婦で家計管理を続けるための3つのポイントを紹介します。
収支を把握して現状把握する
まずは、毎月の収入と支出を正確に把握しましょう。家計簿は面倒で、支出の記録漏れが起こりがちです。クレジットカードの明細反映の遅れで、支出全体が掴みにくいこともあります。
そこで、アプリの利用がおすすめです。入力が簡単で、自動集計してくれます。面倒な作業が減り、正確に現状を把握できます。
予算と貯金目標を決めて、見直す
次は、費目ごとの予算と貯金目標額を決めます。生活費、交際費、趣味費など、大まかで十分です。貯金額は、収入から必要経費を引いた残りから、夢や目標に合わせて決めましょう。
毎月、予算の達成状況を確認します。超過した費目は次月の予算に反映させましょう。
夫婦で協力し、目標を共有する
夫婦で家計簿をつけ、予算とデータを共有することが大切です。一人では続けにくくても、二人なら継続しやすくなります。
節約ばかりでなく、夢の実現のための貯金という前向きな目標を持ちましょう。結婚、出産、子育て、旅行、車の購入など、具体的な目標を夫婦で共有することでモチベーションを保てます。
共通口座が開設できるオススメの銀行5選
共通口座開設時、注目すべきは無料・低手数料、自動入金・振込サービスの有無の3点です。
特に自動入金サービスは、給与口座から毎月一定額を自動送金し、入金忘れや引き落としミスを防げます。ただし、口座名義が同一でなければならず、名義人のみが利用可能ですが、一人分の手数料節約が見込めます。
選択肢としては、メガバンク、地方銀行、ネット銀行などがあり、それぞれのメリットやおすすめ銀行を次に紹介します。
夫婦の共通口座でおすすめのメガバンク
【メリット】
- 近くに設置されたATMで手数料優遇
- 紙の通帳発行が可能(ネット銀行との違い)
- 無料の代理人カード発行可能(家族カードやファミリーカードとも呼ばれ、1口座に対して2枚以上のキャッシュカードを発行できるサービス)
※代理人カードは通常のキャッシュカード機能のみ。クレジットカード機能やデビット機能はなし。
※代理人カード発行は、金融機関によって別居か同居での可否が分かれますが、法律婚の夫婦であれば大体の銀行で発行可能。
項目 | ゆうちょ銀行 | 三井住友銀行 |
---|---|---|
代理人カード | ◯(無料) | ◯ |
自動入金サービス | × | × |
自動送金サービス | ◯(1件125円) | ◯(1件110円) |
引き出し手数料 | 同行ATM:時間帯により無料~110円 | 同行ATM:時間帯により無料~110円 コンビニATM:条件により月3回無料,それ以外1回220円 |
振込手数料 | 同行宛:100円~146円、他行宛:220円~880円 | ネットバンキング:同行宛無料、他行宛:165円~330円 |
コンビニATM利用 | 可能 | 可能 |
ゆうちょ銀行の特徴はATM台数が多いこと。三井住友銀行は「かぞくのおさいふ」アプリを利用してvisaプリペイドカードが発行可能です。
夫婦の共通口座でおすすめのネット銀行
ネット銀行のメリットは手数料の安さです。この節約は長期にわたって大きくなります。一部のネット銀行では代理人カードも発行できますので、物理カードが必要な場合にも適しています。
銀行名 | 代理人カード | 自動入金サービス | 自動振込サービス | 引き出し手数料 | 振込手数料 | コンビニATM利用 |
---|---|---|---|---|---|---|
ソニー銀行 | 1100円/枚(同居家族限定) | 有り(無料) | 無し | 月4回無料、5回目以降110円 | 同行宛無料、他行宛月1回無料、2回目以降110円 | 可能 |
イオン銀行 | 無料で発行可能 | 有り(無料) | 有り | 24時間365日完全無料 | 同行宛無料、他行宛132円 | セブンイレブン以外の主要コンビニATM利用可能 |
住信SBI銀行 | 無し | 有り(無料) | 有り | 月2回無料、3回目以降110円 | 同行宛無料、他行宛月1回無料、2回目以降77円 | 可能 |
特に、代理人カードが不要であれば、住信SBI銀行は自動入金と自動送金サービスがあり、手数料も安いことが特徴です。
B/43をInstagramで紹介いただきました!
よくある質問
共通口座開設の際、名義はどっちにする?
法律婚の夫婦であっても、共同名義で口座を開設することはできません。開設する際は、どちらか一方の名義になります。
口座の名義者はお金の所有者と見なされるため、どちらの名義で開設するかについては、夫婦間で慎重に話し合ってから決定してください。この選択には、将来的なメリットとデメリットが関わってきます。特に、パートナーとの死別や離婚、大きな買い物(例えば、住宅)をする場合など、事情が複雑になる可能性があるため、注意が必要です。
共有口座への振り込み額、どう設定する?
共有口座への振り込み額は、各自の収入の50%を入金するのが一般的です。例えば、夫30万円、妻20万円の収入なら、各々15万円、10万円を入金、合計25万円を生活費とします。また、収入差が大きい場合は収入割合に基づく方法も良いです。例えば、夫50万円、妻10万円なら、夫25万円、妻5万円を入金。個別の自由に使える金額は調整が必要な場合もあります。
緊急用の出費はどう貯めておくのが正解?
予想できないの緊急出費に備えるため、病気や冠婚葬祭、突発的なトラブルに対応する予備費を貯めることが重要です。この予備費は老後資金や教育費、住宅購入資金とは別に設定しましょう。計画的な貯蓄が崩れず、精神的な安定も得られます。
専門家からのコメント
家計再生コンサルタント 株式会社マイエフピー代表 横山光昭氏
金融機関で共有口座を作ると、やはり「名義がどちらになるか」と悩むことも多いでしょう。キャッシュカードを2枚持て、入出金は二人でできても、何かしらの届け出は名義人しかできないという場合も多いので、不自由を感じがちです。
また、オンラインで入出金が確認できる環境を作っておかないと、お金の使い方も残高も、一方しか見れないというのもよくありません。
現金であれ、銀行口座であれ、夫婦のお金のことは共有できているか否かが、将来の資産作りに影響します。共有することで、支出の削減も成功しやすく、貯金も増やしやすいケースが多いのです。
夫婦のお金は、風通し良く。それが貯められる夫婦の秘訣です。家族仲も良好に保ちやすいですし、足並みをそろえて支出削減も貯金を増やすことにも取り組めるので、効率の良い家計運営が可能になります。そういう意味で、名義が偏らず、支出の記録もされるペアカードは、共有のお金で家計管理をしやすいものでしょう。